白堊に死す/医ヰ嶋蠱毒
甘い昏睡の繭から醒めれば屍の劃に降り積む雪か蛆か
咀嚼する顎の蠕動が廻す円舞曲を踊れよ捕食者は腐りゆく
蟲の王侯と生贄の聲、黒松の梢に荒縄を掛け共産主義者の畸形児を
指折り数える歪む竪琴の従軍詩人と蒼褪めた戦馬
「呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛」
俺の意識は白堊に沈み白堊を孕み白堊を嘔吐し白堊との
冥婚を遂げる一つの契約と赤い龍體が仰臥する監獄にて
何処迄も冷徹に少女が(死ぬ迄)殺し続けろ此処が恐怖だ
手術跡から襤褸襤褸と零れる臓腑の膿を啜り掻把し旭日を描き
「遺伝遺伝遺伝遺伝遺伝遺伝遺伝遺伝」
?の末裔、亡國を憂い哭く瀉血のような精液のような
訣別の夜に月蝕を模した薬剤を打てよ然し治癒は望む勿れ冒涜
弾痕の疼痛、男根の聳える悪夢に慄く両性具有の
反基督者は氷の裡で俺の脳髄と接続し羽化を俟つ蛹
擬擬擬と呻く殺戮の機関をただ只管に燃やし続ける
「確と視よ、あれこそが人喰いだ」
鋼鉄の空と鍵十字、抜き放たれた刀の柄で鳩は末期の憩いを諦観し啼き
外套を纏う俺の足取りは腥く真新しい断頭台のソレに類似してゆく
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