「ヘーベルハウス」2分半/モリマサ公
 
少女たちについて
携帯電話をすばやく
両手でうちこみ
笑顔と無表情の
隙間から歯を見せ
歯ブラシを
そこにつっこみ
恋人ではない
おとこの名前を
うがいするような
少女たちについて
いつの時代でもいる
リストカッターたちは
かわいいから
ヘーベルハウスの
かたちに切り込みを入れて
その上から
ピンク色の包帯を巻いて
まっすぐな髪を超まっすぐにするために
アイロンをかけ
エナメルの肌に
美しく化粧を施し
自分の推しを
尾行しにいくために
それなそれなで会話を続けて
てゆーか何人好きな人がいるの?
それなそれな
てゆーか今から電車に乗って
どこに
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