アイソニアの騎士、立つ(三)/朧月夜
「今、フランキスとイリアスはアースランテに向かっております」
「アースランテだと? 何がそんな行いを引き寄せるのか?」
「祭祀クーラスは、アースランテとの和平を画策しています」
「まさか! クーラントはラゴスの同盟国ではないか!」
アイソニアの騎士は、苦虫をかみつぶしたような顔をした。
そして、盗賊ヨランは続ける。
「イリアスという聡明な少女をトップに据えることで、
アースランテをクールラントの傀儡政権にしようとしているのです」
「それにしては、イリアスは若すぎるのではないか? 彼女はまだ十三歳だぞ?」
「王族は十歳を過ぎれば、すでに政治的駆け引きの道具になります。
イリアス様は、とうに国家の道具となっているのです」
「わたしにとっては、イリアスは単なる婚約者である。後に、
真の恋愛感情も芽生えることだろう。今は、彼女は駒に過ぎない。
クールラントに我を引き留めるか、アースランテで命を全うするか」
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