エインスベルの迷い(三)/朧月夜
エインスベルは、オーバ・ニーチェに潜入した戦士エイソスや、
独自行動を取るアイソニアの騎士や盗賊ヨランに関しても懐疑的だった。
もしも己の利益を取るのであれば、あるいは無私の精神で行動するのであれば、
それは戦争とは別の混沌をもたらす。
アイソニアの騎士は、イリアス・ナディを愛している。
国家の枠組みには、必ずしも捉らわれまい。
(そして、わたしは虹の魔法石を所持している)
この魔法石が危険なものであると、エインスベルも認識していた。
(虹の魔法石はわたしを壊す。そして、世界をも壊すやも知れぬ……)
この度のライランテ戦争が破滅的なものにならないことを、
エインスベルは願っていた。
そして、一つの知らせがもたらされた。ヨランからである。
「イリアス様は、今アースランテにいます。人質として」
「何? 祭祀クーラスは何を考えているのか?」
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