シナリオ『百合崎高校馬券部始末記』?/平瀬たかのり
〈ごめんなさい先生。わたし千円分だけ
嘘ついてます〉
○部室(放課後・京都新聞杯翌日)
部屋に入って行く涼歌。千伽子がいる。
難しそうな顔で腕組みをして卓袱台の
上に広げたスポーツ新聞の競馬面を見
ている千伽子。その隣に座る涼歌。
涼歌「だめでしたね、ボーガン」
千伽子「うん」
涼歌「思い切って千円全部単勝買ったのに」
千伽子「わたしもだよ」
涼歌「キョウエイボーガン、どうしてこの前
のレースみたいに逃げなかったんですか」
千伽子「鞍上のミッキーが遠慮したんだよ、
先に逃げたらミホノブルボンのリズム崩す
と思って」
涼歌「遠慮?」
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