阿吽の呼吸/リリー
その日は夕方までに出張先を二箇所回る予定だった
庁舎の駐車場を出発した公用車のバン
走る 湖岸道路から
雪化粧した比叡の山陵が見えて
ハンドル握る主幹へ助手席の私はたずねる
どうしますか?
そうやな。
わたし、アソコがいいかなぁ。
アソコか。
午後の予定時間に余裕みて、ちゃちゃっと済ませた方がいいでしょう?
そうやな。寒いし、そうしようか。
はい。体、あったまるでしょ。
後部座席に一人居る主任が声を掛けてきた
なんなん、この二人!夫婦の会話やん。「アソコ」しか分からへんやん。
私は振り返り
呆れ顔する彼女へ笑顔を投げた
「お昼、丸亀製麺でいいですかっ?」
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