小石/リリー
日本海に春の来た時は
カラカラ カラカラ と
生命ない小石が激しい息吹をもらす
波 寄せる毎
丸くなり
妙に乾いた音たてて
踊り上がりながら 転げこむ
海の碧に惹きつけられて
果の黒さを知らず
その水底の深さも知らず絶え間なく
転がりこみ
橋立の湾を出て
果なく続く潮を思うのか
やがて
マリンスノーがお前の上に降りつみ
異国の船のかけらや
真白な美しい人骨にかこまれて
どこかで休息する日まで
歌いつづける
静かに 静かに今、
目をとじているのに
生命ないものを見る私の命
終えた後 幾万年を
お前は歌いつづけるのだ
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