アカザ/そらの珊瑚
 
ててんの?」と
母がいぶかしむようにわたしに聞く

アカザは道々や空き地に生える草
抜いても抜いてもまた生えてくる草
人の手など必要としない
自分が咲きたい場所で咲くのを選ぶ花

もとよりアカザの種を買った覚えはなかった

アカザを育てる珍妙な日々はあっけなく終わり
初夏が始まろうとしていた


 あれから何十年経っただろう
 なんの種を買ったのか
 今となっては覚えていない

 わたしは蕾を待っていた
 どんな花を咲かせたかったんだろう
 どんな花になりたかったんだろう


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