身じたく/リリー
 
 六月はもう
 むし暑く
 医療用コルセットを巻くと
 腹部が汗でむれる

 窓の外を見ても
 空はどんよりと深い水の色
 濃すぎる緑に
 むせ返りながら
 ものうく

 大気はまるで愛の無い
 背中の薄い男の
 しめって熱い腕が私の腰を引き寄せ
 まとわりついてくる様で
 重怠い
 持病の腰痛は時たま
 冷たい縫い針の先で何度も刺される神経の
 痛みをともない
 仕方なく食後に鎮痛剤をのむ

 そんな 風の止んでいる六月の日に

 夏が来たら下そうと思っていた
 真新しい下着をつけてみる
 朝の嬉しさよ


 
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