ふさぐ夏/soft_machine
 
 欠けた器の思い出
 揺れるしっぽの影
 欄干がつかむ 空を見れば
 交すことばだけ難しく

 雲も 風も
 どれもめずらしく
 川面めがけて 飛び立てた
 君と回転した
 夏はいくども冷え
 「今」は 既にことばの標本

  もう 私は大人です
  同じ景色は見えません

  もう、時間
 誤魔化す波を
 ゆっくり かき回す

 心臓がゆすぶる 全身の管を
 鬱ぐ 深い意思があるような
 ひかりの構成

 ことばが忘れてしまった感情を
 今年の夏も
 水上に描く




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