アイボリーの椅子/あらい
 
やっぱり微笑っている、ヒト。
肩が震えたあとで/羽根が生え落ちたときに/ここに滑り込んだのだと。
閉苑間近の映画館の待合室のゆったりとしたソファーで(今震えている。)
冷ややかな水族館で/賑やかなネットスーパーで。黙って。私を私として、
受け入れてくれるからそれだけで好きでありました。

さざなみにたうたう、なら、こちら側に奔り過ぎませんようにと、足も指もない
口だけの雑想が手まねいています。タマシイを置き去りにして私は私を求めて歩
いています。まわりからヒトもビルも山も土も置き忘れてしまえば、私は私とし
て私を認識できなくなるのでしょう。

瞳に映るわがままな手、泥臭い
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