蛙の王様/
リリー
と、池の周囲に設けられた埒から覗く私は何度か思った
そんな朝 一度きり
鳴き声のする辺りへ視線投げると蛙の顔が、
こちらを向いていた
水草の塊がそう見えている錯覚ではなく
私を見ている蛙の目と
見つめ合った
なぜ、カレは牛蛙で
私は人間なのか?
カップリングパーティーならば自己紹介の始まるムードだった
草陰から雨に打たれるカレの透明な明るい目には滴
こんな日も
空からの恵みだと見上げているのだろうか
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