月光の花のような詩を書く 貴女へ/砂木
 


はじめて詩を読んだ時
若くて とてもかわいいと思った

しかし しだいに冴え
凍るような苦痛 けど
美しさをまして

貴女は 詩を うとんじていた
悲痛な思いを記す事を 嫌悪し
それでも 離れられない自分を罵倒し
ついに 密かに甘える事を 切ったのだった

そして 匿名なのに 真剣にさよならを言い
かってに 感謝して 去ったのだった

どこの誰でもなく 記号でしか知らない貴女に
見切りをつけられ 驚いて うろたえた
こんな混沌とした場所で ごまかせずに くちも濁さず
去る と告げたのだった

大人なので 見苦しい事はしたくなかったが
つい 考え直し
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