五月闇/塔野夏子
 


もうどこへも逃げてゆけない言葉たちが
凝(こご)る五月闇
夏の色が濃くなるごとに重くなってゆく空

その空の重みに耐えかねて
虚ろになる意識
否 虚ろを装う意識

綴るごとにはぐれてしまう頁(ページ)
どこへ
もうどこへも逃げてゆけない言葉たちは
五月闇に凝り
半透明に震えるばかりなのに





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