宮之浦岳縦走/zenyama太郎
 
な美しく清らかな歌声だった
山に来ると平地の数倍も女性が
きれいに見えてしまうのは不思議なことだ
急な階段を慎重に降りてトロッコ道へ
それから楠川古道を白谷雲水峡へ向かう
峠でゆっくり昼食をとる
彼女は太鼓岩に登る
ここで油断してのんびりしたのが
まちがいだった
3時5分から白谷へ降りていたら
太鼓岩から降りてきた彼女が
4時10分のバスに間に合わないといって
急ぎ足で追い越した
それから三人で大石のごろごろした山道を
重いザックを背負って急いで下った
気配を感じて途中歩いている人たちが
道を譲ってくれた
途中転びそうになったがなんとか踏ん張った
重い荷を背負っているので転ぶと大怪我をする
彼女は登山靴の底が両方ともとれていた
粘着テープで縛っての山下りだった
ダッシュしたにもかかわらず一分前に
バスは出ていた
しかし思い出に残る早下りになることだろう
タクシー代の3千円は
彼女の提案で割り勘にした

日本百名山
いたるところ 
山あり 登山者あり 暮らしあり






戻る   Point(2)