しし/オオカミ
 

出窓にならべた
傘や 飴玉や しおりや うた
降っていない あめは
わたしを抱きにくると約束して
まるでしらないものに
なった


いつも
泣いている人だけがかなしいのだと
笑っている人だけがしあわせなのだと
千切れるまで痛いとはおもわなかった
ながれる うたをきいて



陽に灼けた風見鶏は
幾分 わたしよりも空にちかい
飛ぶすべももたないのに
くるくる くるくる くるくるくるくるくるくる
両腕をひろげて雨をまつ
陽に灼けて
陽に灼けて
おわらない地平と夏

(あの子には風切羽が、ないんだよ)



ぴりぴりと 毛羽立つ肌の慰めに
窓という窓をひらいて
あらゆる風をよんで
何にでもなろうとしたよ
粉々、だったけれど

身体を持ってる?
こころを持ってる?
めは?ちは?あしたは?


おわらないうただった
こたえられないことなどなかった
しらないことなどなかった


おわらないうただから
なんどでも
しるよ

なんどでも

なんどでも
ひらくよ



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