ASCHE UND LANGE /アラガイs
 

 一度固まってしまった接着剤はもう剥がしようがない。何処までも先祖を辿るのと同じように。

線香を供えるときには顔も知らずに亡くなった人も数にいれる。つまり戸籍上は曾祖父やら祖母やら兄弟なのだが、これが守護霊となって我が身を護ってくれているのか、ときには地縛霊となって己が道筋を宿命づけられるときもある。
「おかあちゃん、おかあちゃん、苦しいよ、苦しいよ、」
肺病を併発して手遅れになった姉や兄もその一人で、昔は治療方法も曖昧で結核患者たちも不治の病と言われていた。
子宝は授かるものだからまた作ればいいよ、と親たちは慰めの言葉を掛け合いながら不幸も乗り越えてきたのだろう。「ひろちゃんはえ
[次のページ]
戻る   Point(5)