音楽を解っていない/為作
の指板に張った弦のフレットを追いながら、
ひとつふたつと数えます。
Eから数えて13個目の音を探しに向かい、
今度は違う船に乗って、再びレストランで歌うのです。
そんなとき、観客にとっては、
船員の言語なんてどうでもよくて、
それよりも僕がリズムを感じると、
皆も愛するように体に流れる血を辿り、
故郷を探す旅を始めるのです。
ほら、あの人はテーブルの足を叩き始めた!
このように、僕は音楽を解らないまま、音を奏でて生きています。それが僕の生きる道だし、僕が音を奏でて生きるにはアルバイトをして生活を補う必要があります。これからもこの道の上で死ぬまで生きるつもりです。
今、
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