なつかしいけもの/秋葉竹
 
幼い僕は
若い青年になり
そのころ
しろいけものとは
会えなくなってしまった
しばらくは
けんめいに探したけれども
なぜか
ある日
そのしろいけものが
もののけかなにかだったのではないかと
疑ってしまって
そんなことを考えるじぶんが
怖くなってしまって

僕は卒業と同時にその町を出て
それ以来
いちどもふるさとには
帰っていないんだ

そして今日
戦い疲れた僕はようやく
あの焼け野原のように不毛で
心をすり減らす仕事を辞め

なるべくひとのいない世界に
ゆきたくて
この過疎の村へやって来たんだよ

そして僕は
いったいいつぶりだろう

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