なつかしいけもの/秋葉竹
幼い僕は
若い青年になり
そのころ
しろいけものとは
会えなくなってしまった
しばらくは
けんめいに探したけれども
なぜか
ある日
そのしろいけものが
もののけかなにかだったのではないかと
疑ってしまって
そんなことを考えるじぶんが
怖くなってしまって
僕は卒業と同時にその町を出て
それ以来
いちどもふるさとには
帰っていないんだ
そして今日
戦い疲れた僕はようやく
あの焼け野原のように不毛で
心をすり減らす仕事を辞め
なるべくひとのいない世界に
ゆきたくて
この過疎の村へやって来たんだよ
そして僕は
いったいいつぶりだろう
君
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)