なつかしいけもの/秋葉竹
ひとにも会わない
歩いても歩いても
だれもいない村で
とてもなつかしい
しろいろのけものに会ったんだ
子どものころには
野原を走りまわっていたよ
そのころ僕のあとを
可愛い声で吠えながら
追いかけてきたやつだったよ
とても楽しいやつで
僕はだれと遊ぶより
そのけものといっしょにいるのが
良かったんだ
とてもとても
幸せだったんだ
時は過ぎゆき
変わらないのはやさしい空だけだった
走りまわった野山も
いっしょに泳いだ湖も
なにもかもが
変わっていってしまったんだ
四季は巡り
時代は変わり
幼い
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