ゴッドファーザー/本田憲嵩
「料理を教えてやる」
「いつか二十人分を作ることになったときのために」
「まず、オイルで大蒜を炒める」
「香りが出たらトマトペーストとトマトを加える」
「焦げ付かないようにな」
「頃合いを見てソーセージとミートボールを入れる。赤ワインを少々」
「それから砂糖をひとつまみ入れる」
「これが秘訣さ」
ほとんど叔父にも近い
偉大な父の古くからの友人でもあった
恰幅のいい禿げ頭の腹心からあなたが教わった
このシチリア風のトマト煮込みは
これからも人類に脈々と受け継がせてゆくべき
帝王学のレシピ
その二重顎の叔父のシェフさながらの手際の良さを
目の当たりにして
その大
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