小鳥の最後/Monk
 
ない
僕は小鳥のことを誰かに話したことがない
話すような相手は誰もいない
僕の生活は以前となにも変わらない


8月の終わりに生まれた小鳥は
嘴の形が少しいびつだった
手のひらの上
不自然な噛み合わせで
わたしで最後です、
と言った


僕はその日はじめて小鳥の声を聞いた
だからといって何もしてあげられない
一応窓が全て閉まっていることを確認して
やはり会社に行った
部屋の中にはいつも以上に熱気がとどまった


次の日に小鳥はもう生まれなかった
ほんとうに最後だった
あれはひどくかなしい声だった
その日の日記に僕は書いた
もうかなしいことは何一つなくなり
それが最後の思い出だった


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