小鳥の最後/Monk
手のひらから小鳥が生まれる
4月の終わりにそれは始まり
僕は少しずつかなしみを知ってゆく
朝目覚めると小鳥は一羽生まれる
だからといって何もしてあげられない
飼い方も知らない
仕方なくテーブルに置いたまま会社に出かける
帰ってくる頃にはもういない
きっと窓がどこか開いてるんだろうと思う
小鳥はかなしいことがあると生まれる
わりとささいなかなしみで生まれる
ヨーグルトが売り切れていたことや
傘を電車に置き忘れたことや
僕にはそういったかなしみが多いことを知る
生まれてはいなくなるを繰り返す
すでに小鳥は何十羽も生まれ
一羽として残らない
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