溜息橋/アラガイs
小雨/降り出しそうにみえては降らない
安穏とした曇り空にはテレビをニュース番組に切り替える
何か重大な事件でも起きてるんじゃないかと
僕の煩悩に燻る炎に油脂を注ぐのだ
そんなときには夜の街を徘徊したくなる
できるだけ灯りを避けながらむらむらと蠢く羽虫
冷えきった指先に仄かさを吹きつける
外灯に照らされる頬杖橋と溜息橋の境界でたち止まり
欄干にぶら下がりながら獣の息を吐く
ちゅるんちゅるんと暗い空を跨がる雀たち
何気なく歩いていると出店の玄関口にいた
ふと、汚れた路面から上を見やれば軒下に燕の巣があった
藁の屑からちらほらと見えるのは親鳥だろうか
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