シナリオ「恩寵のバーガンディ」?(新人シナリオコンクール・三次選考通過作品)/平瀬たかのり
 
  前を指さす寿道。歩き出す。ついて
   いく陽鞠。
   ホームベースの記念碑から十八・四
   四メートル先のピッチャーズプレー
   ト記念碑の前に立つ二人。
寿道「ここに、江夏豊が立ってたんやな。こ
 こから『江夏の21球』投げたんやな」
陽鞠「立ってみたら」
寿道「え――それはできんよ」
陽鞠「なんでよ」
寿道「なんか、やっぱりそれはできひん」
陽鞠「遠慮しぃ。こんなん気がつかんと、
 だれも踏んでってるわ。ほら、立ってみっ
 て」
寿道「――うん」
   記念碑の上に立つ寿道。まっすぐ前を
   見る。その方向へ歩いて行く陽鞠。
寿道「え、杉原さん?
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