水の歌/リリー
改札口を出ると いく筋もの河が流れる
灰色の淵に浮かび
すべらかにいく青をみつけた
水の歌
三月も終りの
生暖かい大気に 還ってゆく
透明な
水の歌
だが 厳しい季節をすぎて
今
青は何て寂しいものだろう
あのエスカレーターを下りれば
バスターミナル
青はバスに 乗るのだろうか?
ショート丈のジャケットと高めなヒールの靴は黒
セミロングのストレートな黒髪
細いペン先が描く様な肩から腰と小尻で際立つ
マーメイドスカート
春のまち に見失った後ろ姿の彼女
どこかで
硬質ガラス張りの壁面へ歩み寄り
ふわふわ 尾鰭をゆらめかしながら外をみる
青い金魚で
なければよいと
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