RAIN SONG。/
田中宏輔
アハッ
雨のなか、走ってきたよ
出された水をぐっと飲み込んで
プロポーズした
でもきみは
窓の外は目まぐるしく動いているから
せめてわたしたちはこのままでいましょうねって
アハッ
バカだな、オレって
*
カサのなか
カサのなかでは
きみの声がはっきりと聞こえる
雨はフィルターのように
いらないものを取り除いてくれる
ぼくの耳に入ってくるのは
ただきみの声だけ
*
雨の日、あの日。
市松模様の
歩道の敷石の上を
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