白椿/
リリー
何が、なにがこの一輪を
酷いとも思える今に変えてしまったのか。
雨、であろうか。打ちひしがれて潰れた花は
茶色く朽ちて、元のすがた跡形も無い。
僕は目線を上げて見た。木には清らかな白の、満と咲く。
そこに未だ蕾も有れば、開いたばかりの愛らしき顔もある。
完璧な美しさなどありはしない。そのことを、
白椿はサザンカの様に散ることが出来ない生涯で、身を晒し
語っているのかもしれない。
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