記憶は決して温まることは無い/ホロウ・シカエルボク
 

朦朧とした生を摩耗し尽くすまで生きるのでしょう

あの時聞こえた歌、言葉、忘れないままでいるのは
放つ側にも受け取る側にも
何の構えも要らなかったせいでしょう
真実は決して定型ではありません
どんな気持ちでそれを見つめたのか
そんなことがすべてを決めるのです
モニターの中で話している誰かの話が全て嘘に思えるのは
その人の中だけですべてが完結してしまっているからなのです

世界を照らす光に、流れていく雲に、流れて行く水に
思惑はひとつも無いでしょう
だからこそどこにでも彼らは行くことが出来るのです
たとえほんの僅か塞き止められたところで…

人を送る煙が糸のように空で見失われるころ
わたしの手元にある一輪の花は力尽きるでしょう
わたしはそれを無念に思いながらもゴミ箱に捨てて

あなたは濡れた手足を丁寧に拭くでしょう


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