首筋ペロンチョ/花形新次
 
雨のバス停で
前に並ぶ女子高生の
白い襟足に雨の滴が
滑り落ちてきて
私はそれをなんとしても
この舌で受け止めたいと思った
行きなり首筋を舐められた女子高生は
悲鳴を上げて泣きながら座り込んでしまうだろう
偽善者面したサラリーマンが
半分は女子高生に何をされたか聞き
半分は俺に何をしたのか問い質すだろう
俺は「お前らがやりたいことをやったまでだ」
と嘯いて、頭にきたサラリーマンから
しこたまパンチをもらうことになるだろう

と考えているうちにバスがきてしまった
女子高生の襟足の雨の滴もなくなっていた

結局、今日も何の変哲もない日常へと
飲み込まれていく





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