読むことのスリル──ひだかたけし小論(7)/大町綾音
渡期の詩のようにも見えます。もし、ひだかたけしという詩人が模倣から入る詩人だったとしたら、氏はあるいは「これこれの詩人の詩を目指した」と言ったかもしれません。もちろん、そのようなことはあり得ないのですが……。
読者は、この詩が一体「何詩」であるのか? を思い悩むことになります。抒情詩でしょうか。叙事詩でしょうか。叙景詩でしょうか。叙志詩でしょうか。「雨ニモマケズ」と宮沢賢治が詠ったように、この詩が叙志詩であれば、事は簡単です。また、抒情詩であると解釈しても、事はスムーズに進むでしょう。反語的に、「この詩においては、その主張するところが一貫していない」として、排斥してしまうことも簡単です。この詩
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