積雲/
リリー
小路を下り来た足が
民家の庭先にある酔芙蓉の木に
止まってしまいます
日差しを浴びる幾つもの
いくつもの花を
見てしまう
どれもがすっかり
酔い心地
木は通りすがる私の顔など
覚えてもいないから
それでも
だれかに聞いて欲しかったのです
民家のブロック塀から乗り出す酔芙蓉の太い枝
この坂、から見下ろす街並に雲の峰が
わき立っています
雲よ
そんなにも白く在る
枝に咲き誇るものの
今朝のすがたであるかのように
戻る
編
削
Point
(3)