繰り返す夏の/
たもつ
草が夏を繰り返している
雲になることを空想していた少年は
九九の練習を終えた後
空港事務所の職員になった
苦痛ではない、けれど確かな痛みが
暮らしの中、靴にも降り積もっている
空気が澄んだ夜明けの街を
句読点のない電報を握りしめて
区長さんが走り抜けていく
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