読むことのスリル──ひだかたけし小論(2)/朧月夜
 
第一章 主観と映像


  宏大な界が突然開ける

  視界右上奥に
  空の濃く暗らんだ青が微かな裏光りを帯び沈黙して在る

 これは、氏の最初期の詩である「VISION.02」(*1)という詩からの引用です。
 人が批評を始める時、何から始めれば良いでしょうか。すでに物故した詩人であれば、その代表作から始める、という手法があります。これは常道であり、王道でもあります。ですが、今現在生きている詩人についてはどうでしょうか。彼、あるいは彼女には「代表作」というものが決まってはいません。おのずと、批評の試みは手探りということになります。
 ですが、わたしはひとつの方針とし
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