就眠儀式/
佐々宝砂
目を閉じて。
両腕を伸ばして。
手が重くなる。
足が重くなる。
閉ざしたまなうらに、
アール・デコ調の紋様。
手が動かなくなる。
足が動かなくなる。
さあ、おいで、夢魔よ、
私のすべてをあげよう。
私は怖れたりしない。
金縛りの快楽のなか、
伸びてゆく私の触手が、
夢魔のつめたい肌にふれる。
未完詩集「百鬼詩集拾遺」または「続百鬼詩集」の「夢魔」より
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