ティンカーベルよ、ティンカーベルよ、酸っぱい果実の香り立ち/秋葉竹
 




  

小雨に降られても 
傘なんてささないで
ハンドポケットで歩いてゆく

でも
逃げず

前はちゃんとみすえて
歩いてゆく


いんわいで にぎやかな 夜のまち

人波の道のさきにみえる
彼女の幻から目を離さず
こっちも歩きつづけます

歩きながら
ラインもせず、ラインも読まない彼女は

じつは
スマホなんて
持っていないんだと

それで
そうだね

ただ 歩き続ける彼女は いさぎよい

ゆうべは眠れなかった 

真っ赤な真摯な目は

もはや会うこともない 人の姿を

どんなことをしても捜し出そうとする
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