ヘッドフォン/madoka
高3の五月なんて はっきりしない空が僕を見下して
調子よく口笛なんか吹いたりしている
本当に言葉にしたいものが曖昧で溶けかけている
手に汗かいてポケットの中で握り締める
いい加減な矢印が手招きして僕の事を
もて遊ぶ
だけどそれを嫌っちゃあいない
小さく頼りない格好で背中を上手く押してくれる誰かさんを
待ち焦がれていた
帰り道によく見る園児が幼い頃の自分と重なって
風と一緒に吹き飛ばされた
あの頃はなんて年くった言葉を たやすく言いたくはない
薄まらないように つまずかないように 残さないように
愛しき青い日々の中に小さな自分見つけよう
忘れてしまったか 僕
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