照応/葉leaf
 
君は生まれてから一年半、少しずつ表皮を脱ぎながらも、もうろうとした世界の中心できらめく窓を一つも持たなかった。君は窓のない世界で完結しながら、しかし窓は少しずつ成熟を重ね、ついに曙光とともに開いた。君は窓のそばへ歩み寄ると、反射的に私たちに呼びかけた。窓は呼ぶための窓であり、呼び声を受け取るための窓でもある。

君は視線で呼びかけ、声で呼びかけ、しぐさで呼びかけ、私たちが応えるのを静かに待つ。私たちもまた視線を返し、行為で返し、あいさつを返し、窓を通した呼応はじかに接触する以上の快楽を君に与えるようだ。君は始まりの窓を開いた。君はこれからも人生において次々と窓を開けていくであろう。そのいちばん
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