ヒタキ/なつき
雲間から
ひと筋の光が射し込む
いつの日か
君とならふたりで居られる
そう信じていた
いつかの日のこと
心とは裏腹に
涙がはらはらと舞う
こんなにも冷徹に
君の行く末を見ていた
その筈なのに
何故だか、躰が崩れてゆく
キビタキの囀りが聴こえる中
僕は遠い目をして
彷徨い歩いた
光の射す一点に向かって
ただただ
まだ大丈夫だと思いたくて
信じたくて
それだけのことで
僕がまだ君に縋っていることを
漸く悟った
恥ずかしい話
君が居なくなってから
老眼鏡の在処も判らなくなって
新聞も読まなくなった
連れ添った年月には重みがあると
自分だけ
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