炎は繁殖期の蛇のようにのたうっている/ホロウ・シカエルボク
ずっとその内に感じてきた、肉体性と精神性の具現化なのだ、飛び込まねば得られぬことを彼らは皆知っている、その思いが、その思いが…血の中で野性として沸騰するのだ、無数の死があり、無数の生があった、自分が関わったものもあった、もちろん手を下し、屠ったものも―他の命を食らい、なおかつ明日もそれを食らうためになにかをしようと鼻息を荒げている自分は、この俺はいったいなんなのだ?そんな思いが彼らの中ではいつでも渦巻いでいる、そうして物陰に隠れて逃げていくやつらを見つめ、なんて下らないんだと考えるのだ、俺はステップを持ち出し、背伸びをして天井の亀裂を指でなぞる、そしてこの空間は果たして天井なのだろうかと考える、それはもしかしたら、人間というカテゴリーからはいくらかはみ出している自分自身の、身勝手なシンパシーなのではないかなどと考える、換気の為に少し開けた窓から冷たい風が吹き込み、微かに思い返された現実は、やがて来る夕焼けの中で、火葬される死体のようにいつか見えなくなってしまうだろう。
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