オーバ・ニーチェの戦士エイソス(二)/朧月夜
「申し上げたいことがあります。それは、アースランテに関することです」
戦士エイソスが、話の口火を切って言った。
「アースランテは今、ファシブルの領土の四分の一を併合しました。
このままでは、アースランテがライランテ大陸の大部分を掌握してしまうでしょう」
それに対して、祭祀ウルムは反論する。
「先の戦争でアースランテは多くの土地を失った。
今さら警戒するには及ばないと思うが……」
「いいえ、違います。アースランテはドラゴンたちを味方につけているのです」
その言葉に、オーバ・ニーチェの面々は顔色を失った。
(所詮、自国内における諜報組織か)エイソスは、少なからず落胆する。
「この世界では、今三つの戦争が繰り広げられています。
一つは、人とドラゴンとの戦闘。もう一つは、ドラゴンを駆る魔導士たちの戦闘。
そして、人と人の輪を乱すもう一つの戦闘です」エイソスが言う。
「汝の考えを聞かせてみよ、ハンザガリア・ユー・アリガルト」
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