救い/なつき
都会の夕景
ガタガタに崩れた
スカイラインの隙間に
陽が沈んでゆく
何も残らなかった
意味のないことの繰り返し
恨の意識が根を下ろし
成長をはじめる
如何してなのか
転げ落ちても
まだ底が見えない
まだいいよ
声が聴こえる
都合良く解釈して
生きていてもいいのだと
独りごちる
何を云っても構わないという建前を乗り越えて
夜の底からの誰かしらの意識が
俺を引き摺り下ろそうとする
もういいや
声を発する
都合良く眩暈がして
誰かを恨んでもいいのだと
独りごちる
人はたぶん
己が誰かにされてきたことを
反芻して
時に跳ね返す
ブーメランのように
それは誰かの意識を切り捨てる
求められてなんかいない
別にそれはいいのだ
ただ何となく寂しかったから
人が優しいものなのか
試してみたんだ
また、賭けに負けてしまったね
でもいい
今日も空だけは青い
それだけでも十分だと知って
俺は泣いた
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