ニューステージ/nm6
 
きない。そして嘘。ぼくらの溜息がひどく明け透けなひどく類まれな深夜で、昨日のことのように素っ頓狂な声を出して走ってゆくの。大丈夫の果ての、ぼくの豪語は?いつかの病の、ぼくらの強さの、狂って生まれたの、それ。


ぼくは夜道を照らす蛍を見たことがないのだ。


雨振ればバラバラでもう元に戻せない、けれど今日。未来の妄想に住むこと遠くてできない、けれど今日。畳の上には暗い夜の丸い月の射し込む光が揺らしている。悲しいことがキラキラと止まらない蛇口を眺めている。ニューステージは、きっとすぐそこで、そんなだ。だからせめて、ただ蛍光灯の輪郭を忘れないでいようとぼくは思う。
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