愚痴/ベンジャミン
ずいぶんと皮肉なものですね
愚痴をこぼしたくなるとき
その愚痴を受け止めてくれるのは
愚痴なんか聞かせたくない人だったりする
遠まわしな言葉が
あなたの
うんうんという相槌とともに
だんだんと剥き出しの本音になって
そのうち
こぼすつもりもなかった
涙までこぼれちゃうから
やっぱり申し訳なく思ったりするんです
正直ですから
良くも悪くもないのかもしれない
けれど
あなたに向かって流れ落ちる
その言葉たちを
どうにか止めようとこらえれば
そのぶん余計に
涙がこぼれちゃうのです
だから
ごめんなさいね
じゃなくて
ありがとう
今日も
そんな愚痴をこぼしながら
そのこぼれた言葉のぶんだけ
いいえ
そのこぼれた愚痴が
あなたの優しさに触れたぶんだけ
何かが満たされてゆくのを感じながら
涙のかわりにこぼしています
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