シナリオ・駒は乙女に頬染めさせて?/平瀬たかのり
 
同・木本厩舎・馬房前【翌日】(早朝)
   マリアラパスの曳き運動をしている剛市の
   ところへ寿々芽がやってくる。
寿々芽「おはようございます――ってエビさんど
 うしたんですか。汗ビショビショじゃないです
 か」
剛市「どもならんで、ほんま。鞍つけるだけで一
 苦労なんや、この馬。ほれ、選手交代や。乗り
 運動頼むわ」
寿々芽「あ、はい」
   騎乗する寿々芽。歩かせようとするが
   動かないマリアラパス。
寿々芽「……なるほどね、そうまでして馬肉にな
 りたいわけね、あんた」
剛市「おい、寿々芽。なに言うてるんや」
寿々芽「『担当馬を人と思って接してる』って
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