シナリオ・駒は乙女に頬染めさせて?/平瀬たかのり
 
く遅れてゴールする寿々
   芽の騎乗馬。観覧エリアから汚いヤジが飛ぶ。
   唇を噛みしめる馬上の寿々芽。

〇栗東トレセン・三門厩舎【数日後】
   馬房の清掃をしている寿々芽のところへ久和
   がやってくる。
久和「寿々芽、泰道が来てくれって言うとる」
寿々芽「木本先生が」
久和「ああ――寿々芽よ」
寿々芽「はい」
久和「いつまでも馬乗りしながら厩仕事やってるわ
 けにもいかんやろ。同期でそんなんやってるの、
 もうおまえだけやろうが。もう潮時とちがうか」
寿々芽「……すみません。木本先生のところへ行っ
 てきます」
   久和の横を過ぎ、馬房を出ていく寿々
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