シナリオ・駒は乙女に頬染めさせて?/平瀬たかのり
「転厩……」
泰道「ああ。脅しやない。十年ほど前や。持ち馬の
ローテーションが気に食わんから転厩させたこと
があるんや、林原さんは」
俯いている泰道をじっと見つめている寿々芽。
やがて立ち上がり、事務所を出ていく。
〇同・路上
茫然自失の体で歩く寿々芽。
〇同・木本厩舎・マリアラパス馬房前
マリアラパスと対峙する寿々芽。その双眸を見
つめる。その顔を手挟む。寿々芽の目から涙が
溢れ、零れ落ちていく。泣き出す寿々芽。
寿々芽「あっ、あぁっ……あぁぁ……うぁっ、んあぁっ……
あぁぁっ」
やがて地面に突っ伏す寿々芽。
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