自由律短歌雑詠(2023年1月)/朧月夜
 
気もそぞろ、心もそぞろ。雪のひとひら、舞い落ちて、土に溶けるように。

オレンジの皮の厚さよ。ピールにして、紅茶にでも浮かべようか。

久しぶりに、のんびりしたいんだ。心のなかは嵐のようでも、せめて身体は。

迷う心に道しるべ。コーヒーは今日も美味で、ほっと息を吐く。

霜柱をさくさくと踏んで、サブレみたいね。そして、土の中には生命(いのち)が。

寒椿、小ぶりで。視界の隅にありつつも、なんの花か分からなかったのです。

小雪降るなかを、白鳥は群れをなして、泳いでゆく。泳いでゆく。

コーヒーを飲んで眠れば、両親はとうに夕食を終えていて。

ひたすらに寒い、手足がかじかむ。しばれる、と方言では言うのだそう。

着古した服、を、いつまでも愛着を持って。いいえ、捨てられずに。

お気に入りの本の片隅に、書き込みがあったの。わたしのではない筆跡で。
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