WISH YOU WERE HERE。/田中宏輔
のいる怪獣がいて●またまた別の怪獣のなかにぼくのいる怪獣のいる怪獣がいて●そんなことが●毎日毎日繰り返し●ぼくの帰り道にあって●帰り道に●お風呂屋さんがあって●そのお風呂屋さんちの娘が同級生だったのだけれど●知恵遅れだった●名前が知恵ちゃんだったから●知恵遅れだったのかもしれない●同級生たちは●その子のことを●よく●バカ●と言ってからかっていた●牛のように太った身体の大きい知恵ちゃんは●でも●ふつうの人間のように見えることもあった●しゃべると知恵ちゃんは知恵ちゃんだったけど●だまって●ぼーっとしていると●ふつうの●だまってぼーっとしている同級生と変わらなかった●怪獣のなかにぼくがいて●その怪獣は別
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