エインスベルの反逆(九)/朧月夜
戦士エイソスは、エインスベルの計略にもうすうす気付いてた。
「お前が何を考えているのか、俺には分かる。
祭祀クーラスを抹殺するというのであろう?」と、エイソス。
「これはかつても言ったことだが……祭祀クーラスは危険だ。
しかし、お前はクールラントの国体と国是とともにあるべきだ。
私情によって、自らの身を亡ぼすべきではない……」
「クールラントなど、わたしにとっては所詮他人の土地です。
わたしは元々アースランテが出自なのです。貴女も分かっているでしょう」
「アースランテか。我らは、かの国に深い縁を持っているのだな。
それでは、頼もう。祭祀クーラスとフランキスを殺してくれ」
「物騒な依頼だな」戦士エイソスは笑いながら言った。
エイソスは再び言う。「しかし、成功するとは限らないぞ。祭祀クーラス亡き後、
クールラントはさらなる混乱に見舞われるかもしれない」
「それは、現在の国王、ジギリス・ア・アルヌーの才覚によるところだな」
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